【完】会長様はご機嫌ナナメな皇帝閣下
「あれ、会長ん家って、一流のシェフが料理とかしないの?」


「しねーよ。母親、一応昔フレンチのシェフだったし、うちには使用人はいない。そういうのは無駄だ」


へぇぇ。まぁ、普通よりいいご飯は食べてるみたいだけど、意外と坊ちゃまな生活じゃないんだ。


私が想像してた皆川会長の生活は、なんちゃら宮殿みたいなとこでバスローブを着た皆川会長が、メイドのハーレムの中であの高慢な笑みを浮かべてる姿だったのに。


なんて、ソファーでくつろぎながら考えてると、リビングの奥のドアが開く。



開いた先には………皆川、会長?


いや、それよりも目尻にシワのある大人の人。長めの黒髪のトップはアシメではないが、その艶は同じだし、眼鏡の奥の色っぽい目元や、幅広の薄い唇の下に付いた黒子とか、ホントもう全く同じ。


もしやこの人は。この皆川会長をそのまま中年にした美しいミドルエイジは。
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