【完】会長様はご機嫌ナナメな皇帝閣下
「う、ううううう……!」
「あら、壮平さん、どうしましょう、うめき声あげはじめちゃったわ。お口に合わなかったのかしら?」
私のリアクションに、皆川ママがオロオロと会長を見つめている。
しかし、皆川会長はすまし顔。だって、多分人工エスパーには、私の気持ちが手に取るように分かるから。
「いえ、大丈夫です。なぁ、ひよこ?」
「うううう……うまっ!うまうまです!やばたん!涙出そう!」
会長に問い掛けられて答えた私に、皆川ママが不安そうな顔から満面の笑顔になる。
その様子を、皆川パパが嬉しそうに、豪快に笑って見つめていた。
美しい夫婦と美しい息子が食卓に並ぶ、絵になるようなその光景。ああ、この家族は温かい。