【完】会長様はご機嫌ナナメな皇帝閣下



うん、皆川家、なかなか素敵な家庭だぜ。


なんて思いながら、ご飯をご馳走になり、今はパパママとさよならをして会長に送ってもらうことに。


送りはパパがタクシーを呼んでくれて、でもうちまでは申し訳ないし、学校までで、そこからは皆川会長と二人、並んで歩いている。


んー、喋ることがない。だがしかし、今までとは違って気まずくはない。


やはり、美味しい食べ物というのは人間の気まずさを取り除いてくれるものである。偉大だな。


「おい、皆川会長」


「なんだ?」


夜の風に、会長の片方だけ長い横の髪の毛が揺れる。その会長の顔は、やっぱり腹立たしいくらいに、綺麗だ。


「ご馳走様。また、呼んでよ」


「おう。母さんも喜ぶだろうな」


私の言葉に嬉しそうに口角を上げる会長に、私もニヤリと笑い返し、また歩き出す。


まぁ、ファーストキスがイケメンで金持ちの坊ちゃまだったことをラッキーに思ってやろうじゃないの、今回だけは。
< 273 / 398 >

この作品をシェア

pagetop