【完】会長様はご機嫌ナナメな皇帝閣下
すると、ようやく私の気配で皆川会長が目覚めたらしく、瞼がぴく、と動く。


「ひよこ……もう公務は終わったのか?」


「後少しだけど……もしかして、待っててくれてるなら先に帰っていいよ。私は大丈夫だ」


しかし、寝ぼけ眼の皆川会長は、とろん、とした瞳であくびをしながら一言。


「お前みたいなキングコングでも、女は女だからな。こんな暗い中一人で帰さねぇよ」


「……ばーろう、心配するなら、キングコングとか言いやがるなや」


皆川会長はこういう時、少し優しい。ドキドキさせやがる。


この人も疲れてるみたいだし、さっさと済まして帰ろう。待っててくれてる好意を、私も好意で返してやらんとな。
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