【完】会長様はご機嫌ナナメな皇帝閣下

暑い、熱い、夜

ザァァァ………………


「チキショー、ザ、自然界アクシデント。鬱だ」


小島を包む、大雨。所謂、スコールってやつ。私は今、それをしのぐ為の場所を探している。私達、ではなく、あくまで私がだ。


「……不甲斐ない。ホントごめんね、ひーちゃん」


何故なら私は、でっかい図体の春風を、背中にしょって歩いているのだ。


春風は人生初の海外で。まぁ、私もだいぶ前にタイに行ったくらいで初に等しいけど、私に比べたら体力なんてないし。


慣れない長時間の飛行機移動に、今日はあおちゃんと同じくらいのはしゃぎっぷりだったから、今になって体に来たらしく、熱を出してしまった。


仕方ないから春風をおぶって雨宿り出来そうなところを探してるってわけよ。


「お、今日はラッキー重なるじゃん」


歩を進めていた私の目の前には、小さな洞窟があった。
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