【完】会長様はご機嫌ナナメな皇帝閣下



多分外の騒ぎのせいで職員会議だろうか、保険医はいなく、仕方ないから自分で治療。


「ってか、バレンタインに流血とか、何事、なんだけど。鬱だわ」


はは、と乾いた声で笑うと、なんだか寂しいような、腹へったような。


「あー、もう。食っちゃお!知らね!せっかく美味そうに出来たのになー!」


どうせ奴らは死ぬほど頂いてんだ。一人で食べてやる。くそくそ!


鞄の中からガサガサとバケットを取り出し、中の不細工なマフィンを一つ、大きな口でかぶりつく。


ほんのりアッキー先輩の紅茶の味がして、甘くて、美味い。だけど一人で食うのは幸せじゃねぇな。


「ひよこ、美味そうなもん食ってるじゃねーの?俺にも分けろよ」


「あん?腹へってんだから一人で食べ……って皆川会長!?」


聞き慣れた声に反射的に返したが不思議に思い振り返ると、いつの間にか保健室には皆川会長がいて、いつもはピシッと着こなしている制服がヨレヨレだし、暴漢にでも、遭ったのか?


いや、暴漢程度で会長がぼろぼろになるはずねーわ。返り討ちだわ。
< 371 / 398 >

この作品をシェア

pagetop