【完】会長様はご機嫌ナナメな皇帝閣下
「ななな、何すんだコラァ!」


「キスだ。……最近、お前は春風にばかり引っ付いている。だから、俺様のってマーキングしただけだ」


チッ……またマーキングかよ。なんかもう、スゲェムカつく。どういうつもりたこいつは。


「あのさ……春風は私に好意があるから、そりゃ引っ付くだろうよ。アンタは私のこと、おもちゃだと思ってんだろ?だったら、キスとかは、ダメじゃね?」


私の言葉に、皆川会長はガクッと肩を落とし、盛大な溜め息ををついた。


「な……!なんだその反応!私正論言ってね?」


「いや、バカだバカだとは思ってたが、ここまでとは思わなくてな」


人のことバカ呼ばわりしてるくせに、窓から射す朝日に包まれた皆川会長は、見たこともない程に穏やかに眉毛を下げて、顔をくしゃっと崩して笑っていた。そして言ったんだ。
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