【完】会長様はご機嫌ナナメな皇帝閣下
《…………次に、送辞。在校生代表、皆川壮平君、お願いします》
式も終盤。放送委員の声に、皆川会長が立ち上がり、美しく、壇上に上がる。
勿論、通常時の俺様皇帝閣下ではなく、外用の爽やか青年仕様だ。
《温かな日差しに包まれ、皆様が旅立つに相応しい、素晴らしく良き日の中、この色を迎えることが出来るのを……》
送辞を凛とした姿で読む皆川会長は、力を見せつけた私達の入学式とは違えど、やはり、リーダーの貫禄を放ち、特別輝いている。
美しい指先が長い送辞の紙を捲る度、体育館から溜め息が漏れそうなほど異世界じみた会長の、その姿。
ああ、この男がリーダーなんだって、改めて突きつけられているようだ。認めたくないが、そう認めるしか私達には選択肢はない。