【完】会長様はご機嫌ナナメな皇帝閣下
《続きましては、祝辞。生徒会会長、皆川壮平君、お願いします》


特進科と普通科、それから工業科の間のアンバランスさから織りなされる異様な雰囲気のまま、進行していく入学式。


現れた皆川会長に、体育館がざわつく。そして、人は、その狂気を持った美青年に、魅了されるのだ。


《桜の舞う、日本の気候が美しく彩る4月に……》


皆川会長のバリトンの美しい声に、耳を傾ける、生徒達。皆、皆川会長の常人ではない圧倒的な美しさとリーダーとしての威圧に、押し黙っていた。


……否、あるチンカスばかりかき集めたブースを除いて。


「つまんねーんだよ坊っちゃまが!」


工業科の血の気の多い誰かが、野球ボールを勢い良く、投げた。


「そーいや、去年は傘だったっけ?」


「あー、去年よか、可愛いかも。ボールなんて良心的だな」


自分達の時の入学式を思い出し、笑みが溢れる、私と春風。


ざわつく保護者、ざわつく特進科と普通科の生徒達。去年と全く変わりない、入学式のこの状況。


まぁ……去年と違うのは、その攻撃を防いだ上に、返すのは皆川会長じゃなくて。
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