【完】会長様はご機嫌ナナメな皇帝閣下
皆川会長はそのデレツンに慣れたもんだと言わんばかりにアッキー先輩を一瞥し、救急箱を取る。


「え……皆川会長って、治療とか出来るの?」


「失礼だな。今時の坊ちゃまは意外と何でも出来るんだぜ?」


その言葉の通り、皆川会長の指先は繊細かつスピーディーに私の膝の応急処置を済ませた。


だったら最初から救急箱持って来いやって思うけど、もしかして、そんな余裕もなく私のところに来てくれたのか?


「これで止血も大丈夫だろ。瘡蓋にすんなよ。痕が残る」


「お、おう。ありがとうございやーす」


何だよ。何でも出来るなんてつまんねえの。けど、急いで来てくれたんだとしたら、うん。ちょっと、見直す。


私は意外と器用な皇帝閣下の背中を見つめながら、まだツンツン状態のアッキー先輩と向き合う。
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