一番星のキミに恋するほどに切なくて。《旧版》


「……これからどうしようかな……」


行く当てもない、帰る家もない……。


「もう真っ暗だねー…」


さっきから一人で喋っちゃってる。周りからみたら危ない子だね…あたし。


今日は星も見えない。なんだかジメジメする。もうすぐ雨が降るんだろう。


「…パパ…ママ…。二人は本当に星になったの?」


分厚い雲が空を覆っている。月さえも見えない。


「…星になったなら…。あたしの事、ちゃんと照らしててよ…ちゃんと…見ててよ…」


あたしを…一人にしないでよ……。


視界がぼやけてきた。自然と立ち止まる。

行き先を無くしたあたしは、進むべき道がわからない。


だから踏み出せない…何処へ向かったらいいのかも…わからない…。


空を仰いだ。


―ポタッ

「…あっ………」

―ポタッ、ポタッ…

顔に冷たい雫が落ちてくる。

……雨だ。


それでも気にせず、誰もいない道のど真ん中でぽつんと立ち尽くした。


―ザーーッ

雨は本降りになった。






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