一番星のキミに恋するほどに切なくて。《旧版》

love letter



「…夢月……」


夢月の葬式の帰り、俺はいつも通り家に帰った。

もしかしたら…普通にドアを開ければ、あいつがいるんじゃないか…そう願って。


―ガチャン

『蓮っ!お帰りなさい!』

「…夢月!!」


夢月の声が聞こえた気がして、部屋を見渡すが俺以外に人はいなかった。


俺は…あいつがいなくなってから何度同じ事を繰り返したのだろうか。


毎日毎日…誰もいない家に帰っては失望して……。


俯いた俺の視界に、薬指にはめられたシルバーのリングが入った。

『eternal heart』

「永遠の…愛……」


やっぱり…お前はもういないのか…?永遠なんて…存在しないのか…?


「なぁ……夢月…」


一人呟いた悲しみは、虚しく消えていった。




< 166 / 204 >

この作品をシェア

pagetop