一番星のキミに恋するほどに切なくて。《旧版》
―蓮…
……声が聞こえる。
―蓮…
…誰の声だったか…。必死に記憶の糸を手繰り寄せた。
―蓮…
…何度も何度も…。無邪気に呼んでは笑顔を浮かべていたあいつの…。
―蓮…
「…夢月……?」
夢月の声だった。
―蓮…
「夢…月…」
名前を呼ばれる度に、胸がズキズキと痛む。声は聞こえるのに、姿が見えない事がとてつもなく俺を不安にさせる。
―蓮…空を見て…
「…空…?」
空なんて何処にある。此処にはだだ真っ暗な空間だけだろ…。まるで今の俺のように真っ暗で…酷い虚無感だけがある。
―顔を上げて…蓮…
言われるまま顔を上げるとー…。
幾億の星達があるはずのない空に散りばめられていた。
あの時…夢月と行ったプラネタリウムのようだ。
―蓮…約束…覚えてる?
「…約束…」
『星…もう一度…たいな…』
『…見に行くぞ。体調が良くなったらすぐに』
弱りきった夢月の小さな願いだった。最後まで叶えてはやれなかったが…。