一番星のキミに恋するほどに切なくて。《旧版》
涙の手紙
いつものように19時に帰る蓮を見送ってあたしは紙とペンを取り出す。
入院してからまだ数日。確実にあたしの体は壊れ始めていた。
「あれ…?上手く書けないや…」
ペンを持つ手が震える。
「これじゃあ書くのに物凄い時間がかかっちゃうよ…」
ため息をつきながらも紙にペンを走らせる。
あたしは蓮に手紙を書いていた。手紙も今日で3通目。
あたしは遅かれ早かれ死んじゃう。自分の体の事だもん…ちゃんと分かってる。
諦めたわけじゃない。蓮が信じてくれる限り精一杯抗う。
でも…突然あたしがいなくなったら、蓮はきっと悲しむ。
蓮があたしの死で苦しまないように…この手紙はあたしからの贈り物だ。