一番星のキミに恋するほどに切なくて。《旧版》
「どうしたの?」
「…何でそんな事を聞く」
「…何となくだよ」
蓮さんは「変な女だ」と言って小さく笑った。
「…嫌な夢でも見たのか?」
「…見てないよ?どうして?」
「……泣いてる」
「……えっ…?」
あたしの頬に触れている蓮さんの手に、自分の手を重ねる。
「…泣いてた…?」
確かに涙の跡がある。その部分の肌がカピカピしていた。
今は乾いている。多分、蓮さんが拭ってくれたから…。
「…夢を見たの」
「……やっぱり恐い夢か?」
「全然っ!…すごく…幸せな夢だったよ…」
本当に幸せで…悲しい夢だった。