一番星のキミに恋するほどに切なくて。《旧版》


―ブーンッブンブンッ!!

「わぁっ!!」

蓮さんは大きな二人乗りバイクにまたがり、ハンドルを握っている。


エンジン音がすごい。耳が痛くなるほど大きいのだ。

「………こっち向け」

「…え?……わっ!」


―カポッ

蓮さんはあたしにヘルメットをつけた。


「蓮さんはつけないの?」

「…俺は落ちない」

「そうなんだ…」


……って………。


「あたしは落ちる前提!?」

どんな運転なんですか!


「…一応だ。死なれたら困る」


―ズキンッ


あれ……?心臓が痛い。何かに貫かれたようにズキズキと痛む。


「……夢月、どうした?」


心配そうな顔をした蓮さんを安心させるために、無理矢理笑顔を作った。


やだ………。あたしちゃんと笑えてるかな?


かぶっているヘルメットに少しだけ感謝した。


『死』…それはあたしの傍に常に付き纏う影。


『死なれたら困る』

蓮、その言葉をあなたはどういう意味で言ったの?

あたしが死んだら悲しいから?


…それは違うね…。それはあたしの望み。そうであったらいいなって…。

だから、蓮は何気なく言った言葉なんだろうけど…。
あたしにとって、それは最高の褒め言葉だったんだよ。






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