一番星のキミに恋するほどに切なくて。《旧版》
「蓮さーんっ!!」
「………何か言ったか?」
前に座る蓮さんに聞こえるように出来るだけ大きな声で叫ぶ。
バイクのエンジン音や風の音で普通の声量じゃ届かないから。
「風になったみたい!!」
落ちないように蓮さんにしがみつく。蓮さんの背中…あったかいや…。
「……そうだな」
蓮さんの声はエンジン音や風の音よりも大きかった。
本当…風になったみたい…。風景がものすごい速さで駆け抜けていく。
バイクには初めて乗ったけど…こんなに速いんだ。
目の前にある大きな背中を見つめる。蓮さんに愛された女の人は幸せだろうな…。
こんなにかっこよくて、無表情だけど優しくて…。この人に愛された人は、本当に幸せなんだろうって思う。
それは…偽りのない純粋な気持ちだった。