一番星のキミに恋するほどに切なくて。《旧版》


「…1番星?どれも一緒だろ」

「違いまーす!一番星は日が暮れてから最初に見える星で、星の中で最も明るい星なんだよ」

ほらあそこと夜空を指差すと、蓮さんも夜空を見上げた。

「…あー……どれだ?」

「あそこっ!」

「…あ?」

「蓮さん…今どの辺見てる?」


「…どの辺だろうな」

そんなやり取りが面白くて笑ってしまう。誰かとこうやって星を眺めるのは良いかもしれない。


「あ……あれか……」

どうやら見つけられたようだ。二人で1番星を見つめる。

「人間って死んだら星になるんだって」

「…星に?」

「うん。だからこんなに星は沢山在るんだね」


あたしも死んだら、星になるのかな…。

「…こんなに多いと、誰が誰だかわからないだろ」

「うーん…そうだよねー…。あっ!じゃああたしは1番星になるよ!」


どんな星よりも早く出てきて空を照らす。どんな星よりも輝いて『あたしは此処だよ』って伝える。


「…夢月はまだ死なないだろ。もっと歳とってから言え」

「わっ…」


ガシガシッと蓮さんに頭を撫でられる。

蓮さんはあたしがいなくなったら悲しんでくれますか?


「…行くぞ」

「…うん!」


涙を流して…くれますか…?


一日があっという間に過ぎ去っていく。時間は止まってくれない。


幸せな時間はいつも…。

星が瞬く時のように一瞬にして終わってしまうんだ…。






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