一番星のキミに恋するほどに切なくて。《旧版》
―ピッ
「合計1260円です」
「あ、はい」
お金を出して苦笑いする。
醤油買いに来たつもりなのに……。
これも足りない、あれも足りないとかで…。色々買ってしまった。
買った物を袋に詰めて外に出ると、雲一つない空が広がっていた。
「……本日は快晴なり」
外に出てきて良かったなぁ。
空を見上げながらマンションまでの道のりを歩く。
家を出てからもう2週間近く経ってるんだ…。
早いなぁ。前まではただこの命が終わるのを待ってるだけで一日が長くて苦痛の時間だった。
でも今は蓮さんと過ごす時間がものすごい早さで過ぎていく。
「夢月っ!!」
「えっ……?」
名前を呼ばれて振り返ると同じクラスの親友、飯島 亜里沙(イイジマ アリサ)がいた。
「やっぱり…夢月だ!!どうしたの?学校ずっと来ないし、連絡しても返事ないし…心配したんだよ!?」
亜里沙は泣きそうな顔であたしに抱き着いてくる。
「…ごめんね…心配かけて…」
あたしはそれしか言えなかった。言えないよ…病気なんて…。
「話せないなら無理に聞かないから…一人で抱えこまないでよ…?夢月、いつもそうなんだから。たまには親友を頼んなさいよねっ…」
涙を目に溜めながら亜里沙は笑顔を浮かべた。
「亜里沙………」
ごめんね……それから…。ありがとう……。
「夢月、もし時間あるなら久しぶりに語らない?」
「うんっ!じゃああそこ行こっか」
あたしと亜里沙は目の前にあった公園の中に入っていった。