君を忘れない
「俺だって、一人じゃやろうとも思わないよ。

けど、ヒメ・・・

お前と電車ライブやりたい、いや、お前とだったらやれる気がする」


こいつは本当に口が上手い。

そんな乗せ言葉にその真剣な顔を見たら、さっきまでは思ってもみなかった感情が出てくる。


面白そうじゃないか


単純な奴だと思われるかもしれない。



けど、その乗せ言葉に乗ってやろうじゃないか。


「仕方ない。

お前一人じゃ可愛そうだから、一緒にライブしてやるよ」


「本当に!?

やった!!!

絶対だぞ!!!」


子供のようにはしゃぐハマを見たら、こっちまで嬉しくなってきた。

電車ライブか・・・

僕の大学生活に大馬鹿なことが一つ刻まれるな。


「おーい。

歌以外であんまりはしゃぐなよ」


両手にビニール袋をぶら下げて店長がやってきた。

この人は店の廃棄をいつも僕たちにくれるのだが、今はそんな喜びよりも電車ライブだ。


「店長!

俺らやるからな!!!」
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