君を忘れない
駐車場から少し歩く。

外灯があまりなく国道なのに暗い。



あいつは誰よりも今頑張っているだろう。

僕たちの前では気丈に振る舞ってはいるが見えないところでは恐怖と闘っていて、それはこの暗闇に一人で向かっているようなことだろう。

そんな、そんなあいつに今の僕は何をしてやれるのだろうか?



「頑張れ」って励ます?



「お前が死ぬなんて悲しいよ」って哀れむ?



そんなことして、あいつが喜ぶわけがない。

一体、僕はどうすればいいのだ。



スーパーから百mくらい歩いたところにある歩道橋に上り、真ん中に立ち上がり夜空を見る。

周りが暗いから、星が凄く綺麗だ。


「なあ。

俺に何ができるのか、教えてくれよ」


星に向かって呟いた。

こんなときに流れ星でも見つければ少しは心が晴れるのだろうが、そんなに人生上手くできていない。

ため息をつき駐車場へと行き、原付にまたがり生田へ戻る。



何をしてやれるのだろう・・・
< 110 / 203 >

この作品をシェア

pagetop