君を忘れない

-8-

遊園で八時から五時間近く飲み、俺とヒメは多摩川に涼んでから、他の二人はコンビニに寄ってからアパートへと向かうことになった。

夏とはいえ夜中となれば少しは涼しい風が多摩川にも吹いていて、普段は電車の音や車の音、様々な音が行き交っているが静かだった。

川のせせらぎがとても心地よくて、まだ少し酔いが残っていることもあり、この場で寝てもいいくらいだ。



本当に静かで、心地のいい空間だ。


「気持ちいいな」


「そうだな。

普段はうるさいけど、夜中だとさすがに静かだしな。

今、ここで寝てもいいくらいだよ」


ヒメも同じことを考えていたようだ。

横になって空を見上げると、満点の星空とまではいかないものの、神奈川にしては綺麗な星空だろう。





かなり気分が良くなっているのだろう。

高校のときから大好きな歌を口ずさんでしまった。



大学二年の夏が終わろうとしていて、ここまでは楽しい大学生活を送れているといえるだろう。



だけど



だけど、楽しいがどこか有り触れている。



将来、子供を持ったときに大笑いして話してやれるような馬鹿なことを一つでも多くしたいものだが、現実はなかなか難しい。



クソッタレの世界・・・



か。
< 111 / 203 >

この作品をシェア

pagetop