君を忘れない
車を停めて外を見ると、関東屈指の心霊スポットとだけあってさすがに怖い。

車の中には三人・・・



正直、もう少し人数を集めればよかったかな。


「うわっ、いるよ。

マジでいるよ」


店長が斜め右前を指差したが、霊感が全くない俺には何も見えない。

見えないのだが、これだけ暗いと霊感がなくても怖いものは怖い。


「行くぞ」


怖いが、一度決めたことだ。

行くしかない。


「マジ怖いよ。

もう帰ろうぜ」


ヒメが半ば泣きそうな顔で訴えてくるが、横目で見るだけで相手にはせずに奥へと進んでいく。

奥に進むにつれて何か肌寒くなってきて、それと同時に鳥肌も立ってきた。

これは気温のせいなのか、それとも霊感のようなものなのか・・・

九月の中旬なのに半そでで来たせいということにしておこう。



・・・・・



・・・・・



・・・・・



誰一人として言葉を発しないまま十分くらい歩くと、分かれ道のようなとこに辿り着いた。


「これ、どっちに行っても同じなのかな?」


「右側のほうが強い念みたいなもの感じるけど・・・」


「じゃあ、右に行こう」


「えええ」


ヒメが叫び声のような大声を出す。

それくらい大声を出し続ければ、怖さも少しは薄れるだろうと思いながら、三人は右へと足を進める・・・
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