君を忘れない
「よし、実験だ」


「だから、何の実験だよ」


「ライブだ。

歌で幽霊を和ませることができるのか」


「はっ?」


店長が呆気に取られたような表情でこちらを見ている。


「ヒメ。

やるぞ」


「はっ?」


ヒメの肩を掴み、隣に並ばせる。

さっきまでの怯えている表情はもうない・・・

というのは、俺の都合のいい考えか?

だけど、怯えている表情ではなく、今はどちらかというと「こいつ大丈夫か?」というような明らかに呆れている。


「仕方ないな。

どうせ、普通に引き返しても怖いだけだし・・・

いっちょ、やるか!」


それでも、やっぱり、こいつは俺と同じくらいの馬鹿だ。

こいつとだから、この実験をやる決心がついたのだ。



さあ、今から俺たちのライブの時間だぜ!
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