君を忘れない
「話したいことって何?」


「お前とはもう無理だよ・・・」


「えっ?」


「もう友達同士なんて無理だよ。

俺の彼女になってくれ」


「気持ちわりぃよ!」


「俺なりにめっちゃキメたんですけど」


「お前、今のブーイングもんだぞ。

もう一回な」


「あっ、もう一回やるんだ。

もういいんだけど」


「遅くなってごめん」


「いや、全然平気だよ」


「えっ?

だって、私は今来たばかりで待ったんじゃない?」


「馬鹿。

俺の心の中にはいつでもお前がいるから、待ってなんかいねえよ」


「だから、気持ちわりぃよ!」


「じゃあ、お前がやれよ」


こんな無茶振りに答えてくれるのはこいつだけだろう。

今、完全に自分たちの世界に俺たちは入っていて、もう、ここが心霊スポットだということは頭の中に無いだろう。

心なしか、笑い声が聞こえてきた。

みんな笑っている。

幽霊だろうが、みんな今は大笑いしているよ。


「いや、いい加減にお前ら歌えよ」


「おっ、ビビッていた店長がやっと口を開きましたね」


「それでは一曲目いってみましょう」
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