君を忘れない
「サンキュー」


「別にいいっすよ。

今日はトラさんのおごりってことで」


調子のいいやつだ。

というか、まだ誰もお前のアパートに僕が今日行くなんて一言も言っていないぞ。


「それより、早く試合しましょ」


そう言うと、走って体育館へと向かった。

だから、まだ行くって決めてないって・・・・・

まあ、どうせ行くだろうけど。



木曜はいつもそうだ。

火曜は昼間に練習で夜は飲み会、木曜は夕方から練習している。

この木曜のサークルが終わると、四盛と僕はどちらかのアパートに行ってはくだらない話ばかりしている。

もちろん、他の人がうちに来たりもするし、四盛のアパートに来るときだってある。



体育館に戻り辺りを見渡すと、まだ大学に入学したばかりでどこかあどけなさが残る1年生がたくさんいる。

現在、運営をしている3年生。

就活の合間を縫って来ている4年。

飲み会のときと変わらない笑顔だ。

これだけの人を笑顔にできるのだから、やはりこのサークルは魅力ある楽しいサークルなのだ。

もちろん、小山も常に不機嫌な顔をしているわけじゃない。

今は新入生と笑顔で話している。

あいつがサークルで不機嫌な顔をしている80%は僕絡みだろう。

声に出して言うのは恥ずかしいし、小山に直接言うのも恥ずかしいので心の中で今思っておこう。

ごめん。
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