君を忘れない
「お前ら、明後日って空いている?」


「いきなりどうしたんですか?」


「いや、まず空いているかどうか知りたいんだ」


情けないが一人でライブをやるにはさすがに厳しいが、このライブは絶対にやりたい・・・



いや、やらなければならないことなのだ。


「俺は珍しく空いていますね」


小山が手帳を開いて、こちらを向いて言った。

四盛は・・・


「ああ、俺はバイトですわ」


残念ながら四盛は空いていないが、それでも小山だけでもいてくれるだけで心強い。

あとは、かよっぺにも空いているかどうか聞いてみよう。


「小山、悪いけどしあさっての一日、俺と付き合ってくれないか」


「何するんですか?」


僕の表情を見ただけで面倒そうなことだと察したらしく、少しだけ面倒くさそうな表情で手を頭の後ろにやった。

それを見て、やっぱり小山まで巻き込む必要はないのではないかと思う。

小山、そして仮に四盛が予定が空いていたとしても、二人はハマと話したこともなければ面識すらない。

それなのに・・・


「お前にとっては、もしかしたら面倒かもしれない。

どうしてもやりたいことがあるのに勇気が出せなくて、俺は都合のいい人間で勇気のないどうしようもないやつだ。

だけど、そんなどうしようもない俺にとってはかなり大事なことで、それはお前がいないときっとできない・・・

だから、頼む」


情けないかもしれない・・・

だけど、それでもやらなかったらもっと情けないし、きっと後悔してしまう。

このライブだけは絶対にやらなければいけないのだ。
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