君を忘れない
「それで何をするんですか?」


一段落したところで小山が核心に迫る質問をしてきた。


「実はな、電車でライブしようと思っているんだ。

いや、もうやるって決めているんだけど」


二人の表情を見ると、何を言われたのかまだ理解できておらず、放心状態のように固まってしまった。

こんなことを言われたら当然だろう。


「はぁ?

あんた、なんてこと考えているんだ」


ようやく頭の中で整理し、言葉の意味を理解したとき、二人とも驚いたというよりは呆れたような表情に変わった。

これも当然の反応といえば当然だろう。


「だから、お前らがいてほしいんだよ。

正直、俺一人じゃ絶対にこんなことできない。

だけど、お前らがいてくれれば俺はできると思っている」


必死で二人に言いながら、いつだったかハマも同じようなことを言っていたことを思い出す。

説得の仕方まであいつと一緒とは、僕はあいつにかなり影響されているのだろう。
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