君を忘れない
「いいよ」


その声の主は四盛だ。


「一瞬だけど、今あんたの背中に誰かが見えた気がした。

誰のためだか知らないけど、その人のためにやろうっていうんなら、サクラだろうが野次だろうがなんだってやってやりますよ」


後ろを振り返るが、当たり前のようにそこには誰もいない。

きっと友達想いの四盛だからこそ僕の後ろにハマが見えて、そしてハマの想いが伝わったのだろう。


「ただし、容赦しないからな」


さっきまでの真剣な表情とは裏腹に、不適な笑みを浮かべて言ってきた。

小山を見ると、小山も同じように「当たり前だろ」と言わんばかりに不敵な笑みだった。


「いや、暖かく見守ってほしい・・・

な、って思っているんですけど」


「何、甘えたこと言っているんですか。

ライブっていうくらいだから、下手くそだったらブーイングですよ」


「えええ!」


何というプレッシャー。

けど、このプレッシャーに悪い気はしないのはこいつらのおかげだろう。

ブーイングでも電車ライブを決行することができるのだから・・・



ありがとう。
< 133 / 203 >

この作品をシェア

pagetop