君を忘れない
「失礼します」
そう思いながらも、ノックをして病室に入る。
ドアを開けると異様なまでに静かだった。
左側の窓際を見ると、シーツが綺麗に畳まれベッドの上に置かれていて、周りには生活用品などのものが一切置かれていなかった。
慌ててもう一度、病室の前にある病室の番号を確認する。
間違っていない。
それなのに、あのベッドにはいつものように知多慧介という男がいない。
あいつに関する全ての物が一切置かれていないというのだ。
その瞬間、全身の力が抜けて、その場に膝まづきそうになったところを、辛うじてベッドに手を乗せて堪えた。
そして、全身の力を掌に集中させ、力一杯に握りしめた。
どうしてシーツが綺麗に畳まれているのか、どうして生活用品などが置かれていないかどうかなんて、この歳にもなれば分かる。
今、僕の頭の中には二つの答えがある。
けれど、その答えを出したくはないし、確認もしたくない。
立ち尽くしているだけでは何も進めないということは分かっているが、二人は動くことはおろか、言葉を出すことすらできずに呆然と立ち尽くしていた。
あいつは本当に静かに去っていった・・・
そう思いながらも、ノックをして病室に入る。
ドアを開けると異様なまでに静かだった。
左側の窓際を見ると、シーツが綺麗に畳まれベッドの上に置かれていて、周りには生活用品などのものが一切置かれていなかった。
慌ててもう一度、病室の前にある病室の番号を確認する。
間違っていない。
それなのに、あのベッドにはいつものように知多慧介という男がいない。
あいつに関する全ての物が一切置かれていないというのだ。
その瞬間、全身の力が抜けて、その場に膝まづきそうになったところを、辛うじてベッドに手を乗せて堪えた。
そして、全身の力を掌に集中させ、力一杯に握りしめた。
どうしてシーツが綺麗に畳まれているのか、どうして生活用品などが置かれていないかどうかなんて、この歳にもなれば分かる。
今、僕の頭の中には二つの答えがある。
けれど、その答えを出したくはないし、確認もしたくない。
立ち尽くしているだけでは何も進めないということは分かっているが、二人は動くことはおろか、言葉を出すことすらできずに呆然と立ち尽くしていた。
あいつは本当に静かに去っていった・・・