君を忘れない
12時にもう少しでなろうかというとき、かよっぺはようやくうちに来た。


「ごめん、ごめん。

話が盛り上がってさ」


「別にいいよ。

俺も課題やってたし」


かよっぺが遅くなるのはいつものことだから計算どおりだ。


「今日のことだけどさ」


今日と言われても、今日のいつのことなのだろう。

けど、考えてみれば係の説明以外に特別に何もなかったので、そのことだろうなと思った。


「ふざけすぎたと思った?」


少し申し訳なさそうな顔でこちらを見ていた。

サークルのときはそんな顔を見せていなかったので、終わったあとにみんなとの話しにその話題が出たのだろうか。


「いや、別にそうは思ってないよ。

やっぱり、あれぐらい説明から楽しんでいるところ見せないと、誰も会長やろうって思わないだろうし」


考えてみれば、確かに俺の説明は硬いを通り越して、若干脅しのような説明だったと思う。

けど、事実は事実だ。


「他の係もみんな問題なくやってたからいいんじゃない?」


みんながどんな説明をしたかどうかは分からないが、説明くらいでそんな問題が起きるほど、おかしなサークルではない。


「副会長以外でしょ」


口に出してないのに、かよっぺは俺が考えてることをあっさり見抜いてしまった。

もっとも、今のトラさんと俺の関係、今日の副会長の説明を見れば大抵の人は分かってしまうのだろう。
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