君を忘れない
千葉駅を出てからのしばらくは、流石にまだ乗客が多いこともあって恥ずかしくて歌いだせずにいた。
というより、乗客が多くてとても歌うようなスペースがない。
乗客が徐々にが少なくなっていこの時間は、ひたすら緊張しっぱなしで僕にとっては拷問のように思えてきた。
四盛、小山、かよっぺと三人で喋っているが、忙しなく僕は自分の荷物を確かめている。
この作業は千葉駅を出てからもう三回目だ。
「忘れ物はないよ。
スピーカーもあるし、ビデオもちゃんとあるよ」
それを見て、かよっぺが呆れたような声でこちらに話しかけてきた。
この言葉も同じく三回目だ・・・
「やっぱり、緊張してんじゃん」
「しょうがないじゃないか・・・
あっ、丁度いいや」
かばんの中を手で探ると、かよっぺは不思議そうな顔でこちらを見ていた。
「あった」
鞄の中から取り出したのは、一つのマイクロSDカードだ。
「俺のマイクロSDカード・・・
小さくて無くしそうだから、かよっぺが持ってて」
「俺のって、それは知多さんのでしょ?」
「違うよ」
カードをかよっぺの手のひらに乗せて、その上から優しくその手を覆った。
そして、そのまま自分の胸を軽く小突き、ゆっくりと深呼吸をして気持ちを落ち着かせようとした。
「これは俺のだ」
「じゃあ、さっきの知多さんのは?」
もう一度だけ深呼吸し、左手の人差し指を無言で携帯に二度当てた。
というより、乗客が多くてとても歌うようなスペースがない。
乗客が徐々にが少なくなっていこの時間は、ひたすら緊張しっぱなしで僕にとっては拷問のように思えてきた。
四盛、小山、かよっぺと三人で喋っているが、忙しなく僕は自分の荷物を確かめている。
この作業は千葉駅を出てからもう三回目だ。
「忘れ物はないよ。
スピーカーもあるし、ビデオもちゃんとあるよ」
それを見て、かよっぺが呆れたような声でこちらに話しかけてきた。
この言葉も同じく三回目だ・・・
「やっぱり、緊張してんじゃん」
「しょうがないじゃないか・・・
あっ、丁度いいや」
かばんの中を手で探ると、かよっぺは不思議そうな顔でこちらを見ていた。
「あった」
鞄の中から取り出したのは、一つのマイクロSDカードだ。
「俺のマイクロSDカード・・・
小さくて無くしそうだから、かよっぺが持ってて」
「俺のって、それは知多さんのでしょ?」
「違うよ」
カードをかよっぺの手のひらに乗せて、その上から優しくその手を覆った。
そして、そのまま自分の胸を軽く小突き、ゆっくりと深呼吸をして気持ちを落ち着かせようとした。
「これは俺のだ」
「じゃあ、さっきの知多さんのは?」
もう一度だけ深呼吸し、左手の人差し指を無言で携帯に二度当てた。