君を忘れない
第三章 祭りのあと(永山美波)

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「俺には夢を見るお前は重すぎるよ」


私には夢がある。

その夢を打ち明けてから彼との仲は疎遠になっていき、最後にはその言葉を突きつけられて別れた。

一ヶ月近く前のことである。



私との付き合いに愛想をつかしたのか、それとも本当に私の夢が嫌で別れたのかはっきりしない別れに、悲しさや辛さという感情は出てこなかった。

ただ一つ、はっきりと言えることはサークルには行きづらくなってしまったということだろう。



彼とは同じサークルで1年の春休みからこれまで付き合ってきた。

もちろん、サークルのみんなは知っていたし、別れたことも一ヶ月近くも経てばある程度の人も知っているだろう。

別れただけなら、少々気まずいというだけでいい。

私たちは付き合って半年くらいから、彼の借りているマンションにほぼ同棲をしていた。

週に一度家に帰るか帰らないかの生活をしていくうちに、サークルのほとんどの人がいい言葉を並べることはなかった。

私たちの前ではそんな素振りを見せることはなかったのだが、そんな状態だったのでサークルに行くのは少々気まずいでは済まずに、できれば行きたくないというのが本音だった。

と言っても、もう運営という一年も先月の合宿で終わったから行かなければいけないという縛りはなくなったので、卒業まで一切行かなくても文句など誰一人として言ってこない。

現に合宿が終わってからサークルには一度も顔を出していない。


(早く終わらないかな)


四限の授業も残り十分くらいになろうとしていた。

後期が始まって三日目ということもあり、まだ授業に慣れていないせいか九十分の授業がかなり長くだるく感じてしまう。

授業が終わったところで今日は予定が何もないのだけど・・・
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