君を忘れない
「好きなユニフォーム持っていっていいよ」


そう言うと、ユニフォームの入っている引き出しを指差して洗濯物を片付けようとした。

この人の体型は身長が170cm近くあるが体重は50kgちょっとくらいしかない。

何でも競艇選手は50kg以上であれば軽ければ軽いほど有利ということで、減量をして今の体重を維持しているらしい。

そのため、ユニフォームのサイズはそこまで大きくないので選ぶのには苦労はしない。



減量で細く引き締まった体は、女性にとっても羨ましく思ってしまう。

ましてや、この人はパッと見ただけなら女性のような顔をしているのだから、尚更そう思ってしまう。


「もう大丈夫ですよ」


とりあえず、自分の好きな色のユニフォームとハーフパンツを選び声を掛けた。

洗濯物は大した量はなかったようで、すぐに選んだつもりだったのに最後の1枚を片付けるところだった。


「よし、行こうぜ」


さっき、学校を出るときと同じような表情で私が選んだユニフォームを自分のラケットバッグに入れながら嬉しそうに言った。
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