君を忘れない
「別にかよっぺには関係ないだろう」


そう言うと、さっき開けたビールに初めての口をつけた。

開けてから時間が経っていて生ぬるくなってしまったからか、この話題で自分の感情がビールの味を変えてしまったのか、どちらか分からないが美味しくない。


「関係あるよ。

トラさん、真一、四盛、私たちいつも4人一緒だったじゃない」


そうだ。

4人はいつも一緒だった。



どんな感じで仲良くなったかは分からない。

けど、入学して2ヶ月もしないうちに4人は仲良くなっていた。

4人で誰かしらのアパートで飲んだ時は、トラさんはいつも酒が弱いから1時間くらいしたら寝てしまう。

しかし、俺たちがちょうど眠くなってきた頃に起きだして寝かせてくれなかった。



酔った勢いで、上半身裸になって(かよっぺはさすがに脱いではないが)夜中の学校まで行って語り明かして、男3人は次の日に風邪を引いた。



合宿が終わって疲れて眠いはずなのに、レンタカーを借りて富士山に登った。



試合後の飲み会が終わったあと、ノリでカラオケで徹夜した。



4人での思い出は多すぎて、全てを挙げたらキリがないくらいある。

そして、トラさんと2人での思い出もそれと同じくらいあるだろう。

そう、俺たちは今では考えられないくらい仲がよかったのだ。
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