君を忘れない
だけど、あの人は裏切った。

俺たちが運営するようになったとき、それまで話したこととは違い、何もしてくれなかった。


「それはもう、前までの話だよ」


自分でも驚くくらい低く怒りに満ちた声だった。

その声を聞き、もう俺たちは前のような関係には戻れないだろうと改めて思った。


「あの人は俺を、いや俺たちを裏切ったんだ」


「真一、それは違うよ」


「違わないさ。

俺たちに期待させるようなことだけ言って、実際は先輩たちに嫌われるのが嫌で、何もしてくれなかったじゃないか」


話していくうちに、怒りが更にこみ上げてくるのが分かる。

俺はあの人の裏切りという行為に対し、怒りという感情を抱いていたのだ。

あの人の全てが許せない。

俺たちに期待させておきながら何もしてくれず、まるでそのことが無かったかのように笑っているあの人が許せない。


「弥栄(やえ)だって、あの人が裏切らなかったら今も」


「いい加減にして!」
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