君を忘れない

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東西線の窓の向こう側は地下鉄というだけあって、当たり前だけど真っ暗だった。

この真っ暗な景色をこの気持ちで一体何度眺めたことだろうか。



今日もまた説明会を受け、資料を貰ってきた。

わざわざ一時間以上も電車を乗り継ぐこの経路を、高校三年生のときから何度も何度も繰り返してきた。

初めのうちは資料を貰っただけで嬉しい気持ちで帰っていた東西線も、いつの頃からかため息交じりで窓をぼんやり眺めながら、一歩踏み出せない自分を責めている。



初めて資料を持ち帰った日、私は母と人生で一番の大喧嘩をした。

結局、「また今度にしよう」を何度も繰り返すうちに、完全に一歩踏み出す機会を失ってしまったように思う。

それとともに、果たしてそれは私にとって本当に良いことなのだろうかという悩みを生じてしまった。

大学に入学してその悩みはますます大きくなり、更には成功できずに失敗してしまったときのことを考え、悩みを一つ増やしてしまった。

こんなことを繰り返していくうちに歳を取り、結局は平凡な人生を送っていくのだろうか・・・


(いつから私はこんなにもつまらなく、寂しい女になってしまったのだろう)


そう思うと、満員電車だというのに涙がこぼれそうになってしまった。

一歩を踏み出せないどころか、私の夢を誰かに堂々と言うことすら躊躇している。

そんな自分が本当に惨めに思えて、うっすらと涙が流れてきてしまった。
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