君を忘れない
「あっ、ごめん。

もちろん、たまたま見たってだけであって、別に後を追っかけてわざわざ見ていたとか、そんなの二回目はもしかしてって思ったけど、ああ何言っているんだ俺」


慌てているトラさんが何だかとても可愛く見えてしまい、恥ずかしさや色んなことがどうでもよくなってしまった。


「別にいいですよ。

結局はそういったものって、人に見てもらうためのものなんですから」


そう言いながら、手を頭の後ろに組んでみた。

なんだか、この仕草をすると落ち着いていられるような気がした。
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