君を忘れない

-8-

「あれ?

トラさん、食べないんですか?」


カップラーメンを食べながら四盛が話しかけてくる。

お菓子とジュースだけかと思ったが、当たり前のように僕に晩飯まで買わせやがった。


「試験が近いから、少しでも体重落としておきたいんだよ」


「そっか。

大変ですね」


こいつは本当にそんなこと思っているかと言いたくなるくらい、人に気を使わず食べている。



ラーメンを食べ終わると、スーパーの袋をなにやら漁っている。

袋の中からはおにぎりが2つでてきた。

ラーメンの次はおにぎりとは、減量しているものを目の前にして少しは遠慮してほしいものだ。

というか、いつの間にそんなものかごに入れていたんだお前は・・・


「試験いつですか?」


「次の次の日曜。

だから、来週はサークルに行かないから」


「あと10日ですか。

だから、ネックウォーマーするようになったんですね。

頑張ってくださいよ」


「おう」


考えてみれば、こいつがいなければ試験を受けていなかっただろう。

それどころか、競艇選手という夢を諦めていたのだ。

ちょっと悔しいが、そこは感謝しなければならない。



感謝しなければならないのだか・・・

おい、四盛・・・

お前はいつまで食べている。
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