君を忘れない
食べていたカップラーメン、おにぎりのゴミを片付けて、ようやく晩飯が終わったようだ。


「今日は副会長の説明に付き添ってくれてありがとうございました」


僕に向かって急に頭を下げてきたので、驚きのあまり飲んでいたお茶を吹き出しそうになった。


「なんだよ、改まって。

それに俺はマスコットだったから何もしてないよ」


冗談で言ったのだが、四盛は真剣な表情をしていた。


「いや、トラさんが横にいるのといないのとでは、あの言葉の重さがかなり違ってきましたから」


重さという表現をされると、なんだか硬い。

それに僕なんかいようがいまいが何も変わってないと思う。



けど、そんなことよりも心配なことがある。


「あんなこと堂々と言ったら、お前これから大変だぞ」


2年生にもOBの楽しみ方が好きな奴らはいる。

いや、こちらのほうが2年生とか学年に関係なくサークル全体で見ても多い。

その楽しみ方が楽しいならそれでいい。

けど、楽しみ方は人それぞれだ。

そいつらの厄介なところは、自分たちが正しいと思っていて、それを無理やり押し付けようとするところだ。


「あいつらにOBに喋られるぞ」


そうなったら、四盛だってOBに色々と面倒なことを言われるだろう。


「何を今更言ってるんですか。

そういうふうにしてくる人ら、俺だって嫌なんですよ。

じゃなきゃ、こうやって毎週のようにサークル終わってからトラさんと馬鹿話してませんよ」


四盛の表情は真剣なままだ。

いつもお互いくだらない話ばかりするから、ほとんど笑ってばかりいるのだが、どうやら今日は違うようだ。
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