君を忘れない
「小山もあれくらい馬鹿やればいいのに」


「そうだな」


あいつももっと去年までのように馬鹿みたいにやればいいのだ。

あの場でなら馬鹿をやってもOBは何も言ってこないはず、色々と気にするあまりに硬くなってしまっている気がする・・・

(最も、そうさせたのは俺か)


「お前が馬鹿やりすぎだから、小山はやらないんだよ。

お前ら足して2で割ったら、ちょうどよくなるのに」


そう言いながらも、僕は自分のせいだと分かっていた。

こいつらが運営する前に僕が何もできなかったばかりに、小山には苦しい思いをさせ、自由を奪われてしまっているのだ。


「サークルに入ってから、ずっとトラさんを見てきましたからね。

そりゃ、こんな馬鹿にもなりますわ」


「俺のせいかい」


四盛とは学年は1つ違うが、一浪して入学してきたこともあり歳は同じだ。

だからというわけではないが、入学してきて2・3ヶ月くらいしたときには自然と仲良くなっていた。

四盛に聞いても分からないのだが、どうやって仲が良くなっていたのかが分からない。

本当に仲がいい奴というのはどうやって仲良くなったか分からないって、ずいぶん前に先輩が言っていた気がするが、まさにこの言葉通りなのだ。



2年の夏休み、つまり四盛たちが入学して初めての夏休みには一緒に遊んでばかりいた。


「そうだな・・・

俺のせいだよな・・・」


窓から部屋の外を見る。

こいつのマンションの前には大きい道路の陸橋が通っているため、景色という景色は何も見えないのだが、ついつい窓の外を見てしまう。


「そうだよな」
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