君を忘れない
あの時は四盛だけではなく、かよっぺもいて、そして小山もいた。

僕たち4人はほとんど一緒に遊んでいた。


「ずっと本当のこと言わないつもりですか?」


去年のことを考え込んでいたところに、急に話しかけられたのですぐに言葉が出てこなかった。


「何が?」


ちょっと間を空けて答えた。

何のことかはだいたい見当はついているのだが、わざとらしくなりつつも一応聞き返してみた。


「小山のことですよ」


「別にいいだろう」


考えてた通り、小山のことだったので今度は即答した。


「よくないですよ。

あんたら去年までめちゃくちゃ仲良かったじゃないですか」


四盛も僕の答えを予想していたのか、そんなに間を空けずにこちらに言ってきた。



去年まで・・・か。

去年のことなのに、ずいぶんと前のことのように感じる。

このまま本当にずいぶん前のことになって忘れてしまえばいいと思っているのに。


「あんなことされたのに、それをずっと隠すんですか?

ここまで隠してきているのにも俺には理解できないのに、ずっと、運営すら終わってもずっと隠すつもりなのかよ」


あんなこと・・・

去年のことが甦ってくる。


「あんなことされたから言わないんだよ」


「分かんねえよ。

仲良かった奴と仲悪くなってまで、なんで隠すんですか?」


(仲が良かったからこそだよ)


自分にそう言い聞かせるようにそう思った。

そう。

あのときから1年間、ずっと小山とトラブルがあり、四盛が本当のことを言うと言い出すたびに引き止めては心の中でずっと思ってきたのだ。


「もういい。

それ以上話すな」


話すなというよりは、去年のことが頭に甦り話してほしくない。

今更、あのことを思い出したくもない。

もう、いいんだ・・・
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