君を忘れない
「できる限りお前たちの」
「もう・・・
いい」
心の底から怒りがこみ上げてきて、自分の声が震えているのが分かる。
「もういい!
あんたにもう何も頼まない。
あんたなんか・・・」
近くにあったイスを蹴飛ばして、トラさんに背中を向ける。
そうでもしなければ怒りに任せて、この人に飛びついて握りこぶしで顔を殴ってしまいそうだった。
もう、俺の知っているトラさんじゃない。
もう、仲の良かったトラさんじゃない。
もう・・・
ただの先輩だ。
結局は自分の立場が悪くなるのを恐れて何もできない、後輩を平気で裏切るただの先輩だ。
「あんたなんか、もう信用しねえよ!」
声を張り上げたので、駅の前を行き交う人たちがこちらを見ている。
夜の9時という時間帯は中学生や高校生、会社帰りのサラリーマン、飲み会終わりの大学生など駅前にたくさんの人がいる。
あからさまに怪訝そうな顔をして通り去っていく大人には酔っ払いの喧嘩だと思われているのだろうか。
しかし、今はそんなことどうでもいいくらいに興奮してしまっている。
「そうか」
先ほどと同じようにしばらく沈黙が続いた後、立ち上がり、振り返る音がする。
お互い背を向けた状態だ。
「そのほうが・・・
いいかもしれないな」
そう呟くと立ち去る足音が聞こえ、どんどん小さくなっていく。
小さい呟きだったけど、俺にはちゃんと聞こえた。
なんで、何も言ってくれない。
なんで、否定してくれない。
なんでだよ。
「もう・・・
いい」
心の底から怒りがこみ上げてきて、自分の声が震えているのが分かる。
「もういい!
あんたにもう何も頼まない。
あんたなんか・・・」
近くにあったイスを蹴飛ばして、トラさんに背中を向ける。
そうでもしなければ怒りに任せて、この人に飛びついて握りこぶしで顔を殴ってしまいそうだった。
もう、俺の知っているトラさんじゃない。
もう、仲の良かったトラさんじゃない。
もう・・・
ただの先輩だ。
結局は自分の立場が悪くなるのを恐れて何もできない、後輩を平気で裏切るただの先輩だ。
「あんたなんか、もう信用しねえよ!」
声を張り上げたので、駅の前を行き交う人たちがこちらを見ている。
夜の9時という時間帯は中学生や高校生、会社帰りのサラリーマン、飲み会終わりの大学生など駅前にたくさんの人がいる。
あからさまに怪訝そうな顔をして通り去っていく大人には酔っ払いの喧嘩だと思われているのだろうか。
しかし、今はそんなことどうでもいいくらいに興奮してしまっている。
「そうか」
先ほどと同じようにしばらく沈黙が続いた後、立ち上がり、振り返る音がする。
お互い背を向けた状態だ。
「そのほうが・・・
いいかもしれないな」
そう呟くと立ち去る足音が聞こえ、どんどん小さくなっていく。
小さい呟きだったけど、俺にはちゃんと聞こえた。
なんで、何も言ってくれない。
なんで、否定してくれない。
なんでだよ。