君を忘れない

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コンパ係から飲み会の準備ができたという合図の電話がきた。


「それじゃ、飲み屋に移動します」


全員に呼びかけ、駅のロータリー前にある広場から飲み屋へと移動し始める。



今日の3年は会長・副会長を入れて6人か・・・

ちょっと、少ないけどしょうがないか。

3年が多いほうが飲み会は楽だし、楽しいし、なによりも先輩たちが何も文句を言ってこない。

けど、今日は文句を言うような先輩もいないし、別にいいだろう。



今日はちょっと機嫌がいいな。

久しぶりにトラさんと試合したし、その後も普通に喋れたからかな。

そんなことは・・・

ないか。


「わりい、ちょっと2人借りるわ」


その声に振り向くと、そこには3年2人と肩を組みながら笑顔のトラさんがいた。


「はっ?」


この人は一体何を言っているんだ?

今から飲みだというのに。

しかも、その2人は運営をしている3年なんですよ。

良いですよ、なんて言えるわけがない。


「ちょっと、何言ってるんですか」


「まあ、まあ。

別にいいじゃん。

飲みは二次会から行くからさ」


「そういう問題じゃないでしょ」


「じゃあな、また後で」


そう言って、笑顔のままみんなから離れていく。

何を考えているんだ・・・
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