君を忘れない
それぞれがはしゃいでいたはずなのに、一斉に全員が2人に注目した。


「4日後に誕生日の人がいまーす」


4日後・・・

6月6日は俺の誕生日じゃないか。

まさか・・・


「その人にプレゼントがありまーす。

ていうか、もう誰か分かっているから早く来いや」


そう言うと、みんなの前に無理やり連れてこられた。

まさか、こいつらがこんなことを企画していたなんて。

飲み会には滅多に来ないし、来ても一定の人ばかりと一緒にいる。

試合の応援にもろくに来ないし、その後の飲み会にも一度も来たことがなく、この2人は自分で言うのもおかしいが、俺がいつも怒っている2人だ。

それなのに・・・


「それじゃ、恒例の顔面もぐもぐいきまーす」


そう、言い切る前に塗りたくってきた。

一気に顔がケーキまみれになる。

2人だけじゃなく、四盛やかよっぺも、今日飲み会に来ている3年全員が塗りたくっている。

あんなことがあったあとだけにかなり嬉しい。

嬉しいけど、首筋はやめろよ四盛。



凄まじい顔面もぐもぐが終わり、顔面ケーキだらけで今来た人が俺を見たら、きっと誰だか分からないだろう。

そんな状態なので目も開けるのも困難なのに瓶ビールを1本フルで入っているのを手渡され、そして一気に飲まされた。


「今度、誰かの誕生日のときはこれ以上のことをやって仕返しをしたいと思います。

どうも、ありがとうございました」


そう言って、急いでトイレへと向かった。

みんなの笑い声が聞こえたが、とりあえずこのケーキまみれの顔を洗わないといけない。

視界がケーキで塞がれて、壁の角に小指をぶつけ痛かったが、それよりも洗面所に一目散に向かった。
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