君を忘れない
「俺たちが運営し始める2ヶ月前に、トラさんは飲み会を二週間に1回にしてくれってOBと話していたんだよ」


どうして2ヶ月前に・・・

俺はその頃はまだトラさんにそのことを相談していないし、四盛やかよっぺにもまだ話していなかったはずだ。


「トラさんはお前が飲み会を二週間に1回にしたいって考えを知っていたから、運営が始まる前にOBと話したんだよ」


「もう・・・

いいんだ」


声に目を向けると、トラさんが悲しそうな顔をしていた。


「結局、何も変わらなかったんだ。

やらなかったことと同じだよ」


さっきまで上を向いていたトラさんが下を向きながら言う。

その顔はひどく悲しそうな顔をしていて、この人のこんな顔は初めて見た。


「よくねえよ!」


いつも冷静な四盛が珍しく声を荒げたので少し驚いてしまった。

こいつがこんなに感情をむき出しにするなんて、こちらも初めて見た。


「小山!

お前、2ヶ月前って聞いて何か思わねえのかよ!」


俺たちが運営する2ヶ月前。

7月くらい・・・


「あっ」


もしかして・・・


「あんた、あれから飲み会でOBに飲まされまくって、体壊して酒飲めなくなっただろうが」


そうだ、去年の7月にトラさんは急に体を壊して酒が飲めなくなった。

あの時は、もともと酒が弱かったからと言って笑っていたけど、本当はそんなことがあったのか。
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