君を忘れない
練習が終わり、飲み屋のある駅の出口へと移動する。

毎週のことだが、この移動がかなり面倒くさい。


「ちょっと、トラさん。

じゃんけんで負けたほうが荷物持ちましょうよ」


そして、四盛のこの絡みも相変わらず面倒くさい。

じゃんけんで荷物持ちって、お前は小学生か。


「絶対に負けないからな」


それに乗ってしまう僕も小学生並なのだろうか・・・


「じゃんけん、ぽい」


僕はパー。

チョキが3人・・・

3人?


「やったー。

じゃ、トラさんお願いね」


いつの間にかかよっぺがじゃんけんに入ってきていた。

それじゃ、あと一人は・・・


「トラさん、8割方パー出すから分かりやすいんですよ」


そう言いながら荷物だけ置いて颯爽と小山が走っていった。


「あいつ、いつの間に来てたんだよ」


いや、走る元気があるなら自分で持てよ。

練習終わった後に4人分とか普通に重たいし、そんな重たい荷物を4年である僕が持つのかよ。

まあ、そこがあいつらといるいいところなんだけど。


「いや、2人普通にもう仲良しですね。

じゃ、飲み屋までしっかりよろしく」


「これのどこが仲良しだよ」


そう言い切る前に四盛も足早に去っていった。

あいつら・・・
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