君を忘れない

-5-

「今日、話すこともう決めた?」


「別に決めたもなにも、会長としてやるべきことを言うだけだろ?」


今日は5月になって初めてのサークルだ。

うちのサークルは8月にある合宿が終わると、運営は3年から2年へと変わる。

5月に入ると、2年には運営の説明や、運営するにあたっての係の説明をする。

この係の説明が終わると、しばらく2年はサークルのときに係を決める話し合いを毎回行うようになる。

まずは、一番重要である会長から決まり、次に副会長と決めていくのだ。



この話し合いでうちのサークルを辞めていく人たちは毎年出てくる。

俺たちの学年は最初の話し合いには30人はいた気がするが、結局残って運営しているのは21人と10人近く辞めていった。



4年生のときは3人辞めて19人、その上の先輩たちは確か5人辞めて22人って言っていた。

うちの学年がやたら多いが、もともと来ていた人数も今まで一番多いって言われてたから仕方のないことだろう。


「だから、それを聞いているの」


「会長はみんなをまとめて、サークルには毎回来ないといけない」


「それだけ?」


みんなをまとめると言われても、俺たちは大学生だ。

お互いコミュニケーションはある程度はできるし、特別に会長の仕事という仕事があるわけじゃない。

正直、会長とは名ばかりで仕事がないのが現実だ。

それ故に練習(と言っても、好きな人同士でダブルスの試合をワイワイやるだけ)に飲み会、試合の応援には必ず来なければいけないという暗黙の了解がある。

けど、実はそれが一番大変で会長はなかなか決まらない。


「じゃあ、かよっぺは何かあるの?」


「会長って、説明難しいよね。

考えてもこれといって出てこないよ」


始業ベルがなり、昼休みが終わってしまった。


「ごめん。

私、三限あるから行くね」


結局、何もなく昼休みが終わってしまった。

特に話すこともないし、毎回来ないといけないということだけ言っとけばいいよな。
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