君を忘れない
-5-
普段なら聞いているだけでテンションが上がったり、時には心が落ち着くエンジン音なのだが、今だけは何の効果もない。
いや、きっと効果はあるのかもしれないが、それらが全く耳に入ってこないというべきか。
かよっぺは初めての競艇場で、初めての競艇のレースを見て興奮していた。
僕もいつもなら興奮しているのだろう。
遠くを見てはため息をつく。
先ほどから、一体これを何回繰り返したか分からない。
さっきのハマに、僕は何かが引っかかっていた。
いつもと違っていたという感じではないし、こちらに気を遣い無理をしているという様子でもなかった。
だが、どうも何か違和感のようなものがあった気がしてならないのだが、それが分からない。
「競艇って、思っていたよりもスピード感あるし、迫力もあって面白いね」
こっちがハマのことを考えて悩んでいるというのに、無邪気な笑顔でこちらを見てくる。
羨ましい奴だ。
いや、かよっぺの性格はそんな無神経ではない・・・
と思う。
となると、元気の無い僕に気を遣っているのだろうか。
「だろ?
スピードとか、直線で最高八十五キロくらい出るんだよ」
気を遣っているかよっぺを困らせたくはないから、笑顔で自慢げに答えた。
ため息ばかりついていては、一緒にいても面白くないし、かよっぺだってハマのことを全く心配していないわけじゃない。
「凄いね。
これがトラさんの目指しているものかぁ」
実際にレースを見ながらそう言われると照れる。
これが、僕の目指している競技であり、目の前で走っている選手たちが僕の目標であるのだ。
いや、きっと効果はあるのかもしれないが、それらが全く耳に入ってこないというべきか。
かよっぺは初めての競艇場で、初めての競艇のレースを見て興奮していた。
僕もいつもなら興奮しているのだろう。
遠くを見てはため息をつく。
先ほどから、一体これを何回繰り返したか分からない。
さっきのハマに、僕は何かが引っかかっていた。
いつもと違っていたという感じではないし、こちらに気を遣い無理をしているという様子でもなかった。
だが、どうも何か違和感のようなものがあった気がしてならないのだが、それが分からない。
「競艇って、思っていたよりもスピード感あるし、迫力もあって面白いね」
こっちがハマのことを考えて悩んでいるというのに、無邪気な笑顔でこちらを見てくる。
羨ましい奴だ。
いや、かよっぺの性格はそんな無神経ではない・・・
と思う。
となると、元気の無い僕に気を遣っているのだろうか。
「だろ?
スピードとか、直線で最高八十五キロくらい出るんだよ」
気を遣っているかよっぺを困らせたくはないから、笑顔で自慢げに答えた。
ため息ばかりついていては、一緒にいても面白くないし、かよっぺだってハマのことを全く心配していないわけじゃない。
「凄いね。
これがトラさんの目指しているものかぁ」
実際にレースを見ながらそう言われると照れる。
これが、僕の目指している競技であり、目の前で走っている選手たちが僕の目標であるのだ。