君を忘れない
気づいたら夕方の四時になっていた。

昼過ぎくらいに藤田が病室に来たから、大分話し込んでしまったようだ。


「それじゃ、私そろそろ帰りますね」


「おう、遅くまで悪いな」


窓の外は晴れに戻り、また相変わらず夏の暑い日差しが照り付けていた。

病室にいると、どうしても外の天気に疎くなってしまう。


「あっ、ちょっと」


藤田がドアノブに手を差し出したところで、一つ聞きたいことがあったことを思い出した。


「ヒメ・・・

まだ、あの子のこと引きずっているの?」


さっきまでとは違い、かなり真剣な声で言った。

そのためか、病室の雰囲気が一気に変わりやや重たい空気になってしまったが、これだけはどうしても聞いておきたいことだった。

さすがに本人に聞くわけにもいかないし、サークルも一緒で一番ヒメのことを知っているであろう藤田が適任だった。


「引きずっているとは、また違うような感じがします。

けど、見ていて・・・」


そのあとの言葉に詰まったが、恐らくは見ていて辛いのだろう。

俺もそうだった。



あれから五ヶ月が経った。

あいつはこの五ヶ月を一体どんな気持ちで過ごしていたのだろうか。


「実はそのことで、ちょっと確認したいことがあるんですけどいいですか?」
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